こんにちは。ビルメンのおがゆー(@ogawayuji1)です。
これからビルメンへの転職を検討されている方で、「どんな仕事をすることになるのか!?」その内容が気になっている人は多いんじゃないでしょうか。
『求人情報に「設備の管理」とか「設備の点検」とか書いてあるので、なんとなーくは想像できるけど、もっと具体的な仕事内容を知りたい!』
今日は、そんな疑問にお答えしていきたいと思います。
⚠ 記事を読まれる前に ⚠
※ これから転職される方向けに、未経験で転職してから3年目位までに任せられる仕事内容をメインに解説していきます。
※ 配属先の現場によって仕事の内容は異なりますので予めご了承ください。
※ 特に断りがない限り「ビルの設備管理を行うビルメン」の業務について説明しています。「清掃」や「警備」については対象外となりますので、ご了承ください。
仕事の内容を紹介するにあたって、僕の簡単な経歴と、僕が勤務する建物の概要を紹介しておきます。
僕(小川)について
・高卒で約10年間大企業に勤務し、
・2020年にビルメンに転職
・2021年現在ビルメン2年目の30代男
・保有資格(第二種電気工事士、危険物乙4、消防設備士乙6、第一種衛生管理者etc)
・系列系のビルメン会社へ派遣社員として勤務しています。
僕が勤務する建物の概要
・9F建ての商業施設
・築15年
・日中は5名が駐在
・最上階(9F)に催し場があり、定期的に模様替えが行われる
それでは、紹介していきます!
設備の点検
【毎日】エスカレーター起動・点検
開店の1時間前からエスカレーターを起動します。
起動しつつ、「手すり下の照明が切れていないか」「異音や振動はないか」等の項目に沿って1基ずつ点検を行います。
僕の職場では約30基のエスカレーターを30分程度で起動・点検します。
こちらの記事でも詳しく解説しています。
【毎日】エレベーター起動・点検
エスカレーターと似ていますが、こちらは開店の30分前に稼働・点検を行います。
エスカレーターの場合は、1基ずつ、現地の鍵穴に鍵を挿入して起動しますが、
エレベーターは、設備室内の操作盤からボタン操作のみで遠隔起動できます(あら簡単!)
起動が完了したら、現地へ向かい、「地階から最上階まで上昇・下降できるか」「カゴと売場の間に段差はないか」「非常電話は問題なく通話できるか」等の項目を点検します。
3基のエレベーターを約10分程度で点検します。
【毎日】屋上設備(給湯器、冷却塔、貯湯槽)点検
ビルの屋上には様々な設備があります。
・ビルの中で使うお湯を沸かす給湯器
・給湯器で沸かしたお湯を貯める貯湯槽
・売場の冷蔵庫や冷凍庫を冷やすための冷却塔
等々
これらの設備は、毎日、異常がないか点検を行っています。
給湯器の設定温度、貯湯槽内の湯の温度、冷却塔を出入りする水の温度をメーターの数値を読み取って、点検アプリに入力したり、冷却塔の水を循環させるポンプの電流値や電圧をクランプで計測して、アプリに入力したりします。
基本的には、数値を確認→アプリに入力という簡単な操作の繰り返しです。
その他、「異常な音は鳴っていないか」「異常な振動はないか」等、も確認します。
いつもと違うことはないか、「間違い探し」をするつもりで点検するのがポイントです。
【毎日】売場内温度測定
建物内は、全館空調により、室内の温度をコントロールしています。
そこで、空調の設定温度に対して売場内の温度が適正な数値となっているか、毎日巡回して確認しています。
温湿度計を持って売場内を最上階から地階まで歩き回り、専用のアプリに入力していきます。
気を付けることは、
・入力する数値を間違えないようにすること
・売場にいるお客さんとぶつからないようにすること
くらいでしょうか。
僕にとって、この時間はお散歩タイムです。
毎日売場内を歩き回るので、歩数が増えて良い運動になります。
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【毎日】ビル外周点検(外壁の照明点検)
ビルの中には、大量の照明が設置されています。
売場内の照明が、寿命で切れてしまった場合、店員さんから設備管理室に「球替えお願いしま~す」と連絡があり、新しい管球と取り換えを行います。
しかし、ビルの外周の照明は、もし寿命等で切れてしまっても誰も教えてくれない(場合が多い)です。
そこで、これら外周の照明については、日没後に毎日歩き回って点検を行っています。
【週次】水質検査(残留塩素濃度、水素イオン濃度)
ビル内で使う水に含まれる残留塩素等が法律で定められた数値をクリアしているか検査を行います。
こちらは、週に1回の頻度で行っています。
専用の容器に薬剤を入れて、さながら科学者の実験の如く、しっかりと検査します。
こちらの記事で詳しい内容を紹介しています。
【月次】空調機外調機点検
ビルの中で使用している空調機と外調機の点検を行います。
ビルの中には、ACR(air-conditioning machine room=空調機械室)と呼ばれる部屋が各所にあり、空調機械が設置されています。
家庭用のエアコンは冷媒を使用して空気の熱交換により冷やしたり温めたりしますが、空調機械室に設置されている空調機械(主にACRやOAC等)は冷水・温水を利用して空気を冷やしたり温めたりします。
これらの空調機械は自分の身長よりも大きいので、初めて見た時はその大きさに驚くかもしれません。
空調に使用する、冷水・温水の圧力や、空調を運転するための電流値、ファンを回転させるためのVベルトの状態(異音・振動・バタつきの有無)等を確認します。
【月次】分電盤点検
ビル管内では至る所で電気を使用しています。
売場内の照明やコンセント、レジの電源、バックヤードの事務所、更衣室、トイレ、我々が待機する設備室、等々、例を挙げるとキリがありません。
これらの電気を辿っていくと、家庭用の分電盤と同じように、ビルの中にも巨大な分電盤が設置されています。
主に、EPS(Electric Pipe Shaft)と呼ばれる電気系統をまとめた部屋がビル内の各所に配置されており、その中に私たちの背丈よりも大きな分電盤が多数設置されているのです。
これらの分電盤に異常(高熱・異音・異臭・変形等)がないかを毎月1回確認しています。
分電盤の中身によっては、不定期にフィルターの交換を行うこともあります。
フィルター交換については、こちらの記事で詳しく説明しています。
【月次】パッケージエアコン外観点検
パッケージエアコンは家庭用のエアコンと同じように冷媒の熱交換により室内の温度を変化させる機械です。
AHUのような大型の空調機が広範囲の温度を調整するのに対して、パッケージエアコンはお客さま応接室や、ベビールーム(授乳室)等、個別に繊細な温度調節が必要な部屋に設置されています。
ビル内に設置されているパッケージエアコンを1台ずつ見て回り、「電源が入るか」「ちゃんと冷たい風(暖かい風)がでるか」「室内機・室外機周辺から冷媒ガス漏れはないか」等の点検項目をチェックしていきます。
電流値等の測定はなく、主に外観のみを点検しています。
【月次】トイレ点検
ビル内で使用するトイレの点検です。
各フロアにお客さま用と従業員用のトイレがあり、それらを1日1フロアずつ点検し、(B1F~9F)の全10フロアを10日間かけて点検します。
点検項目は、
・トイレの水が問題なく流れるか
・ウォシュレットは使用できるか
・乙姫は作動するか
・手洗い器の水は流れるか
・水石鹸が詰まっていないか
・天井照明は切れていないか
・個室の扉はスムーズに開閉できるか
・個室のカギはかけられるか
などです。
女性用トイレには、我々男性は入れませんから、すべての女性従業員が退社する(であろう)22時頃を見計らって、宿直者が点検します。
夜遅い時間(眠たくて疲れている時間帯)の点検なので、「トイレに異物が詰まって流れない」なんてことがあると結構ショックが大きいです。
ラバーカップで復旧できれば良いですが、もし復旧しなければ、夜中に一人で便器と相撲を取るを分解する羽目になります。こればっかりは運ゲーですね。
【月次】月末メーター検針
個人的に僕が一番好きな仕事がこれです。
地下の食品売り場やフードコート・カフェ等で使用する電気や水道のメーターを検針して、専用アプリに数値を入力していきます。
ただひたすらこれを繰り返すのみです。
場所によっては、メーターがとんでもない場所に設置されていて、非常に数値が見づらい場所もありますが、それ以外は、ただ数値をアプリに入力するだけの繰り返しなので、気分が乗ってくると楽しくなってきます。
先輩にこの話をすると「小川君が特殊なだけだよ」と言われたので、向き不向きはあるかもしれません。
単純作業の繰り返しが好きな人にはうってつけの仕事です。
【四半期】フロンガス漏洩簡易点検
売場内に設置されている冷凍庫や冷蔵庫に使用されているフロンガスが漏洩していないかどうかを確認する点検です。
100台以上設置されている冷凍庫・冷蔵庫を1台ずつ回って、目視確認していきます。
フロンガスは、万が一漏洩してしまった場合に地球環境に悪影響を及ぼすため、法令で定期的に漏れがないか点検するように義務付けられています。
設置台数は多いですが、目視確認するのみなので、比較的簡単な点検です。
【随時】幹線電流測定
商業施設の中には、「イベントスペース」と呼ばれる売場があります。
イベントスペースでは、季節に応じたイベント(バレンタインイベント・クリスマスイベント)や食品催事(北海道物産展・沖縄フェア)等の様々な催し物が開催されます。
この中でも、特に食品催事では、大量の冷凍庫・冷蔵庫に加え、フライヤー、ボイラー、蒸し器、製氷機、チラー、IH調理器等、消費電力の大きい三相機器が数多く使用されます。
これにより、その月の使用電力量が他の月と比べて多くなります。
他の月よりも使用電力量が多くなれば、当然、「なぜ使用電力量が多いのか」理由を示さねばなりません。
ビルのオーナーとしては、少しでも使用電力量を抑えて、電気料金の支払金額を少なくしたいですからね。
そこで、こういった食品催事を行う際には、電気室内の分電盤にて幹線の電流を測定し、「食品催事によって増加した電力量」を把握しています。
【年次】年次停電点検(法定停電)
ビル内の配線に異常がないか、年に1回管内のすべての電気を停電させて、絶縁測定などの点検を行います。
これは、法令で定められたもので、毎年必ず行わなければなりません。
建物の利用者への影響を最小限にするために、基本的には夜間に行われます。
そのため、「深夜に開始して早朝まで寝ずに点検」といった少しハードな内容となっています。
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申し出対応
管球交換
天井や什器の管球の交換対応(いわゆる”球替え”)です。
1日にだいたい10件位は申し出があります。
蛍光灯、水銀灯、LED、ハロゲン、白熱電球等、管球の種類は様々です。
これらの管球の特色や交換方法を覚えなければ対応することはできません。
例えば、水銀灯は素手で触ってはいけません。
理由は、点灯時に非常に高温になるため、もし素手で触ってしまうとガラスが劣化して破損の恐れがあるためです。
その他、天井埋め込み型の器具の場合、器具ごとに取り外し方が異なりますので、これらの方法も覚える必要があります。
天井や、背の高い什器については、脚立を使用して作業をするので、注意が必要です。
色々と書きましたが、3カ月もすればある程度のパターンは覚えられますので、余り身構える必要はないでしょう。
什器の不具合
什器というのは、商業施設等で商品が陳列されている棚等の総称です。
不具合の申し出例として、「扉付カウンター什器の扉の丁番が外れたので見て欲しい」等があります。
上記のような簡単な内容であれば、プラスドライバーで増し締めするだけだったりするので、その場で対応が完結しますが、扉が完全に外れてしまっていたりして重症の場合には、専門業者の手配を行います。
もし、入居しているテナントが自分たちで持ち込んだ什器の場合は、業者の手配もテナントにお願いすることになります。
什器の不具合に限らず、資産区分によってその後の対応方法が変わってきますので、必ず確認するようにしましょう。
今回は、日常点検と申し出対応について紹介しました。
今後は、緊急対応や、業者による点検・作業の立会い業務等について紹介する予定ですので、是非ブックマークしてお待ちください。
それでは。